8/29(木)・10/28(月) 江原 【レビュー】 池田史子(2008)「山口方言における特殊拍とアクセントの関係」

2013年11月28日 19:48

更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

夏ゼミと後期第2回で発表させていただきました内容について、更新させていただきます。

 

今回の発表は、池田史子(2008)「山口方言における特殊拍とアクセントの関係」で述べられている、山口方言のアクセントの世代間の差について、自らの調査結果の報告という形で発表させていただきました。

 

池田(2008)の内容を簡単に説明しますと、

①東京方言は、アクセント規則に従えば特殊拍(撥音・長音・促音)や二重母音の副母音にアクセント核がくる場合、例外としてそのひとつ前の拍(1モーラ分前)にアクセント核がずれるという傾向があるが、山口方言はアクセント核がずれることなく、特殊拍もアクセント核を担うことができるという特徴がある。(山口方言の話者は特殊拍にアクセント核を置くことを苦としない。)

②この特徴は山口方言の話者の中でも老年層に多く見られる。

③最近の若者の中では、アクセント核が1つ前の拍にずれるという東京方言と同じ傾向がみられるようになっている。(特殊拍がアクセント核を担うという特徴は消えつつある。)

ということです。

 

ここで山口方言の特徴を挙げておきます・・・

・安芸(広島)・石見(島根)方言と密接な関係を保っている山陽方言。

・九州方言とのつながりがより濃く、長門域方言は中国方言と九州方言の渡りの方言。

・アクセントは東京式アクセント(第二種・乙種アクセント)

(飯豊毅一他編 『講座方言学8 中国・四国地方の方言』(1982・国書刊行会)より)

 

池田(2008)で結果が報告されている調査は、調査対象者の方言域自体がずれているという問題点があげられるため、今回の発表では長門方言域在住の5人を対象としてアクセント調査を行い、その結果を分析・考察しました。

 

帰省時という限られた時間で調査を進める必要があったため、テーマを決めてから実際に調査を行うまでの準備期間が短く、調査票の不備や自分の知識不足の目立つ発表となってしまいました。反省してます。

まずは方言学・音声学の知識をしっかりつけることが私の課題のようです…

 

しかし、調査自体からは、特殊拍にアクセント核が置かれるかどうかは、年齢差だけでなく地域差も関係があるということや、親の発音が子の発音に大きな影響を与えていること(言語習得に関係しそう?)など、興味深い結果を得ることができました。例外が出るのには馴染み度(語句の使用頻度)が関係しているのではないかという興味深いご指摘もいただきました。今後の調査につながる結果を得られたのではないかと思っています。

また発表中には、今回の調査と直接関係はありませんが、山口県出身者の「~ている」のアクセントが「~とる」「~よる」のアクセントに影響を受けているのではないかという、これまた興味深い指摘をいただきました。(個人的には「なおす」という言葉に対する意識が、東日本と西日本であそこまで違うというのも面白かった・・・)こちらについては先行論もあるようなので、一度調べてみようと思います。

 

卒業論文にもつながってくるであろうテーマなので、今回の反省を踏まえつつ、次回の発表に向けて調査を進めていこうと思います。