6/2(月)・6/16(月) 笹島 【レビュー】 未就学児の比喩表現

2014年08月05日 10:30

昨年度の発表を経て、継続して児童の使用語彙に興味を持っていたこともあり、今回は、

その使用している語彙がどのように獲得されているのかに着目し発表調査を進めました。

 

今回、発表には谷口(2007)を使用させていただきました。

谷口(2007)の中でも、子どもの発話に現れる比喩表現においてどのような類似性に着目しているかの調査について、発表者で再検討をし調査分析をしました。

主に調査データの収集方法類似性の分類方法の二つを中心に再検討を行い、調査を実施しました。

 

二つの再検討項目のうち、実際の発話を記録したのではなく、新聞の投稿集を採用していた点がの収集方法です。

の改善として、新聞などのデータではなく未就学児(35歳の男女計7名)のいる知り合いに自身が調査依頼をすることとしました。

ただし調査手続きは岩田(1994)に基づき、母親が子どもの発話を聞き取り、比喩だと感じたものを記録してもらうという方法を採用しました。

次に類似性の分類として6種類を設けていたが、どのような基準で分類がなされるのかが明確でない点がの分類方法です。

の改善として、岩田(1994)の中でも参考にされているWinnerの比喩表現分類基盤の分類と事例に基づきデータを分類することとしました。

 

谷口(2007)では類似性を知覚分類に基づき分析をした場合、「擬人法」と並んで「形状」の類似性が多いと言及されていましたが、実際に調査をしたところ、やはり「形状」の類似性に着目していることが明らかになりました。

しかし、今回の調査では「形状」の類似性の割合と同じ数値で「形状」とほかの観点を組み合わせて類似性を見出していることも明らかとなりました。子どもが比喩表現を用いる際に、「形状」単体に着目するだけではなく、他の観点と組み合わせながら目を向けていると考えることができました。

 

発表調査を終えて、データの収集方法が母親を介しており発表者自身で聞き取りをすべきだったのではないか、比喩の定義を発表者自身がきちんと把握しきれていなかったなど、まだ問題点も多々ありました。

その中でも、フロアにいるゼミ員が発表者の気づけていない部分に言及できるよう資料提示をすることができるかなど、

今後発表を控えている後輩たちへ提示できた部分も少しながらあったのではないかなと思っています。

また、自身の卒業論文の研究テーマに直接関係するかは別としても、

具体的に掘り下げるための判断材料の一つとして、今回の発表調査が意味のあるものになるのではないかなと感じています。そして、認知言語学という前提知識が乏しい分野についての文献や入門書を読む機会にもなりました。

 

今後も、自身の研究分野を深めていきながら、研究分野以外の言語学の知識理解も徐々に広げて

いけるよう、勉強をしていきたいと思います。

発表調査のアドバイスをしていただいた先輩方や協力していただいたお母様方、本当にありがとうございました。

 

参考文献

岩田純一(1994)「乳幼児のメタファー」『京都教育大学紀要A(人文・社会)No.86』京都教育大学

谷口一美(2007)「抽象化の発達と言語習得の相関をめぐって」『認知言語学論考No.6』ひつじ書房