6/13(月),6/27(月) 森【レビュー】笑いの三分類からみるコント・漫才の分析

2016年08月19日 22:15

森です。6月に行った発表についてまとめます。今回の発表では、笑いの定義を種々の分野から概観することを目的として発表を行いました。一週目に、哲学と心理学において笑いがどのように扱われているかを概観し、二週目に、その笑いが生じる説に従って漫才とコントを分析しました。

 まず、一週目についてです。哲学と心理学で笑いについて述べられているものを調べました。哲学から笑いが生じる説として、優位説、緊張緩和説、不一致説を挙げました。また、ベルクソンの『笑い』の内容もまとめました。心理学からユーモアの分類について、攻撃的ユーモア、遊戯的ユーモア、支援的ユーモアを挙げました。それらを使って、高橋俊三(2000)「教室にユーモアを-言語理論の応用としての「笑い」の活用-」の批判と補強を行いました。

 二週目では、一週目に挙げた笑いが生じる説三つに従って、東京ダイナマイトのネタを分析しました。また、論理の逸脱とナンセンスについて一提案をしました。論理的に真であるが通常想定されるフレームや常識からは外れたときに笑いが起きるのではないかという仮説です。論理的にも偽であり、フレーム等からも外れている場合はナンセンスギャグになるのではないかと考えています。また、ここで理想化認知モデルが役立つのではないかと考えています。論理的に真でありながらも、理想化認知モデルに当てはまらない場合が先の仮説に当てはまるのではないかということです。論理的に真でありながら、プロトタイプからはずれた周辺事例の事柄が笑いにつながるのではないかと考えています。


 今回新たに分かったこととしては、従来の研究においてなされてきた不適合理論では説明がつかなかった事柄について、優位説なら説明ができるということです。また、不適合理論による笑いについても、それが何との不適合なのか解明していくことが今後笑いの研究になっていくことであると考えました。

 今後は、推論との不一致や、脳の情報処理と笑いの関連について調べていきたいと考えています。また、笑いの分析によって何との不適合なのかを明らかにすることで、逆説的に談話の構造に迫れるかもしれないと考えています。笑いを取るという行為は、談話をメタ的に捉える必要があるため、笑いの生まれるものを作る授業によって、談話を捉える能力が上がるような、国語教育に生かすことも視野にいれていきたいと思います。