5/25(月)、6/8(月)野上【レビュー】延与由美子(2012)「若い世代の尊敬語・謙譲語使用意識とジェンダーに関する一考察」
大変遅くなってしまい、申し訳ございません。
前年度から若い世代(特に生徒)の敬語使用について興味を抱いていました。
前年度用いた大石初太郎の論文で、性差について考察されていたことからこの観点からも考えてみたいと思い、「敬語×ジェンダー」のフィールドで勝負したいと考えました。
しかし、このフィールドの研究はされつくしているのかする意義を見いだせないのかわかりませんがほとんどなされておらず(主観です)、一度触れてみたいと思い延与氏の論文を取り上げた次第です。
延与氏の調査は、「ロールプレイ」という手法をとっています。自分が敬語を使用すべきある場面に遭遇した時に発する言葉と、自分が異性だった時に同様の場面で発する言葉で違いがあるのかということを調査することで、性差による敬語使用(今回は尊敬語・謙譲語)の違いの意識があるのかを明確にしています。これを延与氏は、「女性の方が尊敬語・謙譲語を多用する」という仮説の基行っています。
論文の結果からすると、あまり違いがないという印象。より依頼文(~していただけませんか)に違いが見られると考察していますが個人的にはうーんという感じ。
ということで、私の母校でこの調査をやってみました。
論文では音声によって調査をしていましたが、今回は時間的制約から記述による回答を頂戴しました。
以下、結果及びフロアからいただいた意見等です。
・結果として、やはり女性のパフォーマンスに敬語の多用が見られる(男性と比較して)のは依頼文が多い。
・とはいえ、全体として差は見られない
・尊敬語謙譲語使用がMAS(男性としてのパフォーマンス)>FEM(女性としてのパフォーマンス)になる構図が男性の回答に見られる。
・アンケートはしつこいぐらいにやり方を書く(一部やり方を間違えている人がいたことから)
・フォローアップアンケートは必須で書かせる(もしあればという但し書きをしていたことから)
・性差は「出ないのか」、「出せないのか」
ということで、あまり違いが見られませんでした。
他の方に伺っても、「敬語使用に性差なんてあるのかなあ」という返答が多く不安になりそうですが、
やれる限り(というか違う観点からの調査を吟味し)この分野を続けたいなと思います。
具体的には年齢層を動かしたり、敬語に限らず他の部分に着目したりといった感じです。
発表前後と発表当日に助言・意見等いただき、有難うございました。
野上