5月15、29日発表網岡【レビュー】「文字機能と方略利用の差について」

2017年06月13日 17:03

網岡です。報告が遅くなってしまい大変申し訳ありません。


今回は漢字と平仮名の形態の差に注目し、リーディングスパンテストという調査方法を用いました。これにより、平仮名と漢字に注目したときに作業記憶に違いが生じるのかという面を見ていこうとしました。また、その時に、どのように指示された字を覚えようとしているのかという方略の差を見ていくために、アンケートも同時に行いました。今回の調査は遠藤香織、苧阪満里子(2012)「日本語版リーディングスパンテストに方略利用の個人差」を参考に行いました。

今回参考にしたリーディングスパンテストの内容としては


・20~30字の文章を声に出して読み上げる。

・1文の中に覚えるターゲット語が1つ存在する。

・2~5文条件があり、5試行行う。例えば3文条件であれば3文読み上げた後、ターゲット語の報告を行う。それを1試行とし、残り4回行う。

といったことが基本の内容です。今回漢字と平仮名に注目した内容を行いたかったので、ターゲット語を漢字の場合と平仮名の場合で設定しました。

また方略の尋ね方としては

記憶すべき単語を復唱する「リハーサル方略」

記憶すべき単語をつないで作文を行う「チェイニング方略」

文章のイメージを思い浮かべる「場面イメージ方略」

覚えるべき単語のみを思い浮かべる「単語イメージ方略」

単語の始めの1文字をつなぎ合わせる「頭文字方略」


の5つをアンケートの際、別紙で掲示し、どの方略を使用したか一番近いものをアンケートに記入してもらいました。また、その他に複数用いたか、この5つにない方略を用いたか記入する欄も設けました。

調査の結果としては5文条件時においては、漢字をターゲット語にした場合の方が正答率が高いという結果になりました。平仮名に比べ、漢字は処理を行う情報が多いため、このように長い試行で正答率が高くなったのではないかと考えられます。しかし方略の方は漢字や平仮名、また成績に応じた傾向などは見ることはできませんでした。


今回はリーディングスパンテストを用いて文字の形態の差を見ていこうとしました。今後は漢字の音や、より細かく条件を設定した複雑度や画数、形などで、注意や処理の結果がどのように異なってくるか見ていきたいと思っています。今回の発表で文字にどのような注意を向けているのかという点について疑問を自分の中で持つことになりました。その方向で今後考えていきたいです。


フロアの皆さんありがとうございました。