12/9(月)・12/23(月) 矢野 【レビュー】 芳賀純(1988) 「言語心理学入門」

2014年03月30日 13:00

 大幅に遅い更新となってしまい申し訳ありません。2013年度後期の発表のレビューです。今回は、一週目に芳賀純(1988) 「言語心理学入門」をまとめ、そこでの議論から二週目は要約文の分析を行うという発表をさせていただきました。

 心理言語学とは、話し言葉(場面ごとの話しことばの特徴や技術、パラランゲージ等)や非言語コミュニケーション(動物と人間の言語、記号、非言語的表現等)、言語学習(母音と子音への印象、自我と文解釈、記憶等)、言語的直観(語と語の結びつきの程度、文法的結合等)、言語の実験心理(比喩文における語と語の相互相関、民話の登場人物の印象等)、バイリンガル(二国語併用の心理や教育、二重言語の得失等)などを研究範囲とするもので、認知言語学などとも関連する学際的な分野です。一週目の発表内で、文脈読解力とは何かという疑問を抱いていると発言したところ、要約文を分析し、使用された単語や読み手の着目点から文脈読解への手がかりを見出してみればどうかという意見を頂いたため、二週目は要約文を調査しました。

 調査方法は、『〈センター試験〉国語過去問題 現代文 平成15~24年』尚文出版より平成20年の評論の文章の一部を、六名に要約してもらい、得られた要約文を「KH Coder」というソフトにかけて分析するというものでした。結果として、六人のうち殆どが使用している語が所謂「キーワード」「要素」とされるのではないか、共起性が高い語が最終的に「この話は『○○の話』だ」など簡潔に言い表される際に用いられるのではないか、中心性の高い語から読み手の主眼を置いた内容が把握できるのではないかという仮説が立てられました。

 二回の発表を終え、まずは自分の知識量の無さや、「KH Coder」の品詞体系や語の区切り方の理解不足を痛感しました。二週目の発表内で、共起ネットワークの図や語の使用数だけでなく、様々な基準から見る必要があるとの指摘を受けたため、適切な要約文の条件や基準なども視野に入れ、次回の発表に向けて勉強していきたいと思いました。