12/7(月)・12/21(月)小野寺【レビュー】三牧陽子(2002)「待遇レベル管理からみた日本語母語話者のポライトネス表示」,宇佐美まゆみ・嶺田明美(1995)「対話相手に応じた話題導入の仕方とその展開パターン」

2015年12月26日 08:22

更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。12/7と12/21の発表のレビューです。


以前から、会話をしている人々の思考していることが、言語としてどのように表れるのか、会話がどのように進んでいくのかということに興味を持っていました。そこで一週目の発表では、前者は待遇表現とポライトネスという観点から会話を分析すればそのことがわかるかもしれないと考え、三牧(2002)を扱うことにしました。


三牧(2002)では、会話における「社会的規範」と「個人のストラテジー」の2側面に注目し、従来の狭義の敬語研究にとどまらず、会話参加者がこの2側面をどのように使い分けながらポライトネス表示をしているのかを分析しています。「社会的規範」には、初対面場面であることや人間関係をわきまえていることを示すような日本語文化・社会におけるもの、「個人のストラテジー」には、改まりを示したい、親しみを表現したいといったようなものが含まれると述べられています。これらを分析する言語的指標として「待遇レベル」を用い、基本的待遇レベルの設定や文末の丁寧体・普通体に注目した考察がなされていました。


発表の際には、「談話研究と会話研究のどちらに着手するか決めた方がよい」、「実験・研究は知りたい目的のために条件を選んでいる」というご指摘をフロアの方々からいただきました。談話と会話の相違が曖昧である上に、実験方法にばかり目を向けていた自分の視野の狭さに気づかされました。しかし、この発表を経て異性ペアの会話という新たな興味を持つこともできました。



二週目の発表では、一週目ではふれられなかった会話の流れや、新たに興味を持った異性ペアの会話の分析がなされている宇佐美・嶺田(1995)を扱うことにしました。この論文は談話・会話研究を問わず先行研究としてよく用いられており、他の論文に共通する考え方を学ぶことができるかもしれないと考えたことも選定理由の一つです。


宇佐美・嶺田(1995)では、①初対面二者間の会話における、話題導入の頻度やその仕方などが、対話相手の年齢・社会的地位・性によりどのように使い分けられているか②会話の構造、話題の展開パターンが、対話相手の組み合わせによって異なるのかについて述べられていました。


発表の際には、「話題導入や会話の流れにおいて、年齢・社会的地位・性の3要因のうちどの要因が最も影響が出ると考えられるか」を中心に、フロアの方々と議論させていただきました。また、ポライトネスとストラテジーの違い、フォローアップアンケートなど、まだまだ自分の知識ではわからないところをフロアの方々から教えていただきました。



自分の興味は会話分析に近いこと、自分なりの談話分析と会話分析の解釈ができたことなど、多くのことを学び、得ることができた二回の発表でした。今後は会話分析に関する論文や文献を読み、自分が具体的に何を知りたいのかを探っていきたいです。


発表中はもちろん、論文の比較や自分なりの考えをまとめることなど、発表前からもたくさんのアドバイスをいただきました。

この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。