12/26(月) 田中【レビュー】徐璐(2014)「日本語の敬語使用とポライトネス」

2017年01月09日 17:38


田中です。

12/26の発表について報告させていただきます。



夏合宿では、人を怒らせずに自分の意見を通す方法について発表を行い、その中で見られた、敬語とポライトネスを別物とする考えに疑問を持ちました。


そこで今回は、徐璐(2014)「日本語の敬語使用とポライトネス」を参考に敬語はポライトネス理論に当てはまるのかということについて発表を行いました。



徐璐(2014)「日本語の敬語使用とポライトネス」は日本語の敬語をポライトネス理論に当てはまらないとする主張として、以下の三つを挙げています。


・ポライトネス理論のフェイスの概念は相手の負荷の軽減や行為の自由に価値を置くが、

日本語は対人関係の認識に価値を置いている


・敬語使用の目的は相手の負荷の軽減ではなく、上下関係を示すことであるため、使用動機が異なっている


・ポライトネス・ストラテジーは相手のフェイスを脅かすことを軽減するために能動的に選択するものであるが、敬語使用は文化的習慣や規範に従って能動的に決められてしまう



それに対して、敬語は敬意だけでなく心理的な「距離」を表現するものでもあるため、その「距離」を基準に考えることで敬語はポライトネス理論に当てはまるとすることができるとしました。



今回の発表で、敬語はポライトネス理論に当てはまるものであると考えることができると結論づけました。しかし、文化的習慣から、「距離」置かないときに敬語を使用しないという選択ができないため、敬語使用の能動性について、敬語の使用と敬語の不使用を対立させて考えている点に疑問を感じました。能動的な選択を可能とするためには、「距離」を置く敬語と「距離」を置かない敬語の対立で考える必要があると思いました。


そこで今後は、敬語使用に焦点を当て、「距離」を置く敬語と「距離」を置かない敬語につて調べていこうと思います。ありがとうございました。